当院では2024年12月より肥満症外来を開設いたしました。受診希望の際は当院ホームページをご覧になった上で予約センターよりご予約をお願いいたします。また、クリニックからの御紹介もお受けしております。外来受診をスムーズに行うため以下のPDFを印刷の上、かかりつけの先生に記入して頂き、ご持参の上で来院をお願いいたします。
肥満症外来 紹介状
奇数週月曜日 午後2:00〜
(完全予約制)
予約専用電話
03-3716-8124
(平日9:00~16:00)
肥満とは脂肪組織が過剰に蓄積した状態であり、肥満に起因ないし関連する健康障害を有する場合、あるいは健康障害を伴いやすい内臓脂肪型肥満を有する場合は「肥満症」と定義されます。肥満症は冠動脈疾患、脳梗塞、高血圧などを引き起こす可能があるため治療を行う必要があります。治療の基本は食事療法・運動療法です。肥満症治療の目的は、減量により健康障害、健康障害リスクを改善し、QOLの改善に繋げる事です。当院では専門の医師・栄養士・薬剤師・看護師などを中心に多角的に患者様の治療をサポートいたします。
(日本肥満症学会編:肥満症治療ガイドライン2022, 東京, 2022, ライフサイエンス出版, p4)
肥満症の治療については記載の通り治療の基本は食事療法・運動療法です。
しかし、一方で「膝や腰が悪く、運動をするのが難しい」「一人暮らしで自炊が難しく、どうしても食べ過ぎてしまう」などそれぞれの事情でダイエットに難渋している方も多くいらっしゃると思います。そのような方には、当院では肥満症治療薬(GLP-1受容体作動薬 ウゴービ®)を用いて効果的にダイエットを行う治療を提供しております。
実は同じ成分ではあるものの、2型糖尿病治療薬としてオゼンピック®の名前で既に国内で使用されていました。2023年3月に肥満症治療薬(GLP-1受容体作動薬 ウゴービ®)として承認されましたが、濫用を防ぐため、規定を満たした限られた医療機関でしか処方できない様になっています。
肥満症治療薬(GLP-1受容体作動薬 ウゴービ®)は胃からの食塊排出遅延による満腹感誘発
やGLP-1受容体を介して脳に作用し食欲を抑制する事などで体重減少をきたします。
効果を期待できる一方で副作用などのリスクもあるため、治療開始前には専門の医師と相談をした上で開始します。また、下記に記載致しますが、保険適用には特定の条件があるため、該当するか十分に確認が必要です。
最新の診療ガイドラインの診断基準に基づき、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断がなされ、適切な薬剤治療が行われており、かつ以下を満たす必要があります。
①BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害(注1)を有する。
②BMIが35 kg/m2以上
(注1)肥満症に関する健康障害
(1)耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
(2)脂質異常症
(3)高血圧
(4)高尿酸血症・痛風
(5)冠動脈疾患
(6)脳梗塞
(7)非アルコール性脂肪性肝疾患
(8)月経異常・不妊
(9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
(10)運動器疾患
(11)肥満関連腎臓病
大変煩雑であり、簡易的にした図が以下になります。
まずBMI計算を行った上でご覧になってください。
保険適用であっても直ぐに投与開始ではありません。
下記がスケジュールになります。
①運動療法、管理栄養士による2ヶ月に1回以上の栄養指導を6ヶ月以上施行し、効果が不十分な場合は肥満症治療薬(GLP-1受容体作動薬 ウゴービ®)投与開始になります。
<注意点>
・運動療法、栄養指導で効果が十分得られた場合、薬物治療は行いません。
・他院での栄養指導は期間に含まれません。
②投与後3〜4ヶ月までは毎月、体重、血糖、血圧、脂質等を確認し、改善傾向があるか等を確認します。改善傾向がある場合は、投与後3〜4ヶ月以降は2〜3ヶ月毎の受診になります。
<注意点>
・効果不十分な場合、副作用が出現した場合は中止を検討します。
・ウゴービ®開始後も2ヶ月に1回の栄養指導は継続が必要です。
③最大投与期間は68週です。
肥満の中にはクッシング症候群、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患が隠れている場合もあります。その場合は原疾患の治療で改善する可能性があります。当院では内分泌専門の医師もおりますので、肥満で悩んでいる方がいらっしゃいましたら一度肥満症外来を受診して頂ければと思います。その様な二次性肥満を除けば、肥満は基本的に運動療法、栄養療法で完治する事が可能です。ウゴービ®なども薬である以上副作用は少なからずあるため、なるべくなら使用せずに治療したいと考えております。しかし、実臨床では先ほど記載したケースの様に、それぞれの事情でダイエットに難渋する方を今までも多く診察して参りました。肥満症治療薬(GLP-1受容体作動薬 ウゴービ®)はその様な方にとっては大変有効であると考えられます。患者様それぞれにあった治療をご提案しながら、患者様と一緒に治療を進めていきたいと思っております。
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