低フォスファターゼ症Hypophosphatase(HPP)とは 骨や歯の正常な形成に働くアルカリホスファターゼ(Alkaline Phosphatase:ALP)と呼ばれる酵素が遺伝的原因により働きがわるくなり、骨や歯が弱くなる病気です。
このため、骨折や関節痛、疲れやすい、齲歯を主な症状とします。肝臓などに損傷があった場合血清中のALP濃度は上昇するため、臨床検査ではALPは主として肝機能の指標の一つとして扱われます。一方、本疾患では逆にALPは低値となります。
近年、疾患概念が進むにつれ診断例が増えてきています。8つの病型に別れ、重症例は15万人に1人程度と非常に稀な疾患ですが、遺伝子の保因者は本邦で600人に一人います。成人型や歯に症状が限定する軽症のかたもいます。小児では、成長期のためにもともとALPは高く低値が見逃されていることもあります。骨折時は本疾患患者でも正常値を示していることもあります。
軽い外傷で骨折され、ALPの低値を指摘された方はご受診ください。成人型では下記のような方が対象となります。当院では、遺伝子検査(保険診療)を含め酵素補充療法も行っています。
成人型HPPのスクリーニング
1.ALP (アルカリホスファターゼ)の低値(男性:33U/L以下、女性:29U/L以下)
2.骨折の既往歴や、自覚的に倦怠感が著明な方、原因不明の関節痛・筋肉痛の方
3.ご本人が無症状でも、ご家族に、次のような症状を認める場合
①乳歯の早期脱落(1-4歳で抜けてしまった)
②低身長
③歩行障害
④骨折しやすい
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