肝胆膵(かんたんすい)疾患

胆道・膵臓の病気を中心とした診療と、東京医科大学病院との連携診療のご案内

胆道(たんどう)・膵臓(すいぞう)は、消化液の産生・分泌に関わる重要な臓器で、位置的にも機能的にも肝臓と密接に関連しているため、肝臓の病気とあわせて「肝胆膵」領域として診療されることが多い分野です。
当院消化器病センターでは、胆道・膵臓疾患を中心に、専門的な知識をもつ内科医・外科医が連携し、検査・診断から初期治療、術後のフォローまで一貫した診療を行っています。
当院は東京医科大学の関連病院として、同大学病院 消化器外科・小児外科(肝胆膵外科グループ)と日常的に密な症例検討を行っており、より高度な治療が必要な場合には、シームレスに大学病院での治療におつなぎできる体制を整えています。大学病院での治療後は、再び当院で経過観察やリハビリテーションを継続することも可能です。

肝胆膵ってなに?

胆道は肝臓で作られた胆汁を十二指腸へ運ぶ通り道(胆管・胆のう)、膵臓は消化酵素やホルモン(インスリンなど)を作る臓器です。いずれも肝臓と管でつながっており、一つの臓器の異常が他の臓器にも影響することがあるため、まとめて「肝胆膵」として診療されます。
当院では、特に胆道・膵臓の疾患を専門領域としています。

どんな症状が出るの?

  • 健康診断(人間ドックなど)で肝機能異常、膵酵素の異常、あるいは膵臓や肝臓の「嚢胞(のうほう)」を指摘された
  • 腹痛(みぞおち・右上腹部・背部への放散痛)
  • 痛みを伴わない黄疸(皮膚や白目が黄色くなる):体重減少を伴う場合、膵臓がん・胆道がんの初期サインであることがあり、特に注意が必要な症状です
  • 尿の色が濃くなる、便の色が白っぽくなる
  • 原因不明の体重減少
  • 発熱を伴う腹痛(胆管炎・胆のう炎が疑われる場合)

初期には自覚症状がほとんどないことも多く、健診での異常値をきっかけに発見されるケースも少なくありません。気になる症状がある方、健診で指摘を受けた方は、早めにご相談ください。


疾患別の詳しい説明

胆道の病気

  • 胆石症・胆のう炎(急性・慢性)

    胆のうに結石ができる病気です。症状のある胆石症や胆のう炎には、腹腔鏡下胆のう摘出術を行っています。急性胆のう炎など緊急性の高い病態にも、24時間体制で対応しています。

  • 総胆管結石・胆管炎

    胆管に結石が詰まり、感染を伴うと発熱・黄疸を来す病気です。内視鏡的に胆管の結石を除去する治療(内視鏡的排石術)を行います。

  • 胆道がん(胆管がん・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん)

    胆道にできるがんの総称です。黄疸で発見されることが多く、まず内視鏡的に胆道ドレナージを行い黄疸を改善させたうえで、手術の要否を検討します。高度な切除が必要な場合は連携先の大学病院と協議のうえ治療方針を決定します。

膵臓の病気

  • 急性膵炎

    膵臓に急な炎症が起こる病気です。原因(アルコール、胆石など)に応じた内科的治療(安静・輸液・症状に応じた処置)を中心に対応します。

  • 慢性膵炎

    膵臓の炎症が長期間続き、膵臓の機能が徐々に低下していく病気です。飲酒などの生活習慣の見直しに加え、痛みのコントロールや消化酵素の補充を行います。慢性膵炎は膵臓がんのリスク因子でもあるため、症状が落ち着いた後も定期的な画像検査によるフォローアップが重要です。

  • 膵臓がん

    自覚症状が出にくく、早期発見が難しいがんの一つです。CT・MRI・超音波内視鏡(EUS)による精密検査で診断し、手術可能な場合は腹腔鏡下膵手術などを行います。より高難度な手術(膵頭十二指腸切除:膵臓の頭部・十二指腸・胆管の一部などをまとめて切除し、消化管を再建する大きな手術 など)が必要な場合は、連携先の東京医科大学病院と密に連携し、迅速にご紹介します。同院ではロボット支援下手術にも対応しており、症例に応じて低侵襲な治療を選択いただける体制です。

  • 膵・神経内分泌腫瘍(膵NET)

    ホルモンを分泌する細胞から発生する腫瘍で、悪性度は様々です。画像検査や生検で診断し、経過観察または手術を検討します。

  • 膵嚢胞性疾患(すいのうほうせいしっかん)
    膵臓の「嚢胞(液体の溜まった袋状の構造)」は、CT・MRI検査で偶然見つかることが多く、良性のものから悪性化の可能性があるものまで様々な種類があります。代表的な膵嚢胞性疾患には以下のようなものがあります。

 ※健康診断(人間ドックなど)にて偶発的な発見が近年増えており、正確な鑑別診断と経過観察の判断が特に重要なため、詳しくご説明します。

 IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍) 膵嚢胞性疾患の中で最も頻度が高い病気です。できる場所により「主膵管型」「分枝型」「混合型」に分類されます。多くは経過観察が可能ですが、国際的なガイドラインでは、嚢胞内に結節がある、主膵管が拡張している、嚢胞が急速に大きくなっているといった「注意すべき所見」がみられた場合には、より詳しい検査や手術の検討が必要とされています。
 粘液性嚢胞腫瘍(MCN) 主に中年女性の膵体尾部にできる腫瘍で、悪性化の可能性があるため、診断がつけば基本的に手術による切除が検討されます。
 漿液性嚢胞腫瘍(SCN) 多くは良性で、無症状かつ増大傾向がなければ経過観察が可能です。
 膵仮性嚢胞

急性膵炎後などにできる、炎症に伴う液体貯留です。腫瘍性の嚢胞とは区別して治療方針を判断します。診断にはCT・MRI(MRCP)に加え、超音波内視鏡検査(EUS)が有用です。当院ではEUSやEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引法)による精密な評価を行い、採取した組織や細胞は病理診断の重要な手がかりとなります。国際的なガイドラインに基づいて経過観察または手術の方針を決定し、手術が必要な場合や高難度な切除が必要な場合には、連携先の東京医科大学病院と密に症例検討を行い、最適な治療をシームレスにご提供します。

 

肝臓の病気

  • 肝疾患(肝炎・肝硬変など)

    B型・C型肝炎、脂肪肝、肝硬変などの肝疾患についても、当院消化器内科で診療を行っています。定期的な血液検査・画像検査による経過観察を基本とし、病態に応じた治療をご提案します。

  • 肝がん

    慢性肝炎・肝硬変を背景に発生することが多いがんです。画像検査(超音波・CT・MRI)と腫瘍マーカーで診断し、切除が可能な場合は手術を行います。肝臓の大部分に及ぶ広範囲な切除など高度な技術を要する場合は、連携先の東京医科大学病院と症例検討のうえ治療につなげます。


検査について

  • 腹部超音波検査・CT・MRI(MRCP含む)
  • 超音波内視鏡検査(EUS)
  • 超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)
  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)
  • 肝生検


治療について

内科的治療

胆道ドレナージ・胆管ステント留置、総胆管結石の内視鏡的排石術など

外科的治療

経験豊富な外科医が肝臓・膵臓・胆道の切除手術を行っています。膵臓の腫瘍には体への負担が少ない腹腔鏡下膵手術を積極的に取り入れています。胆のう摘出術についても、多くの症例で腹腔鏡下手術を行っています。入院期間や術後の回復見込みは術式や患者さんの状態により異なるため、外来で個別に丁寧にご説明します。


東京医科大学病院との連携について

当院は東京医科大学の関連病院として、東京医科大学病院 消化器外科・小児外科(肝胆膵外科グループ)と密接に連携しています。定期的に症例検討会を行い、治療方針を協議しながら診療にあたっています。
東京医科大学病院の肝胆膵外科グループは、膵臓・胆道外科手術において全国有数の実績を持つ施設です。同グループの公表資料によれば、2025年度は年間190例以上の膵切除術を実施し、低侵襲手術(腹腔鏡下・ロボット支援下膵切除術)は累計1,000例以上(うちロボット支援下膵切除術は400例以上)の実績があり、全国で最も多くの低侵襲膵切除術を行っている施設のひとつとされています。手術見学の受け入れも国内113施設・海外17施設に上り、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医も在籍する、肝胆膵外科領域をリードする施設です。

当院を経由して受診いただくメリット

  • 迅速でシームレスな紹介

    精密検査は当院で実施し、高度な手術が必要と判断した場合は、密な連携のもとスムーズに東京医科大学病院へおつなぎします。

  • 逆紹介による継続診療

    大学病院での手術・専門治療が一段落した後は、再び当院にて経過観察やリハビリテーションなど、退院後の継続的なケアを行うことができます。住み慣れた地域で療養を続けられることは、患者さんの心身の負担軽減につながります。

  • 身近な相談窓口

    大学病院に直接受診するよりも、まず当院でご相談いただくことで、検査の予約や通院の負担などの面で身近な窓口として対応できます。


連携医師のご紹介

永川 裕一(ながかわ ゆういち)教授
< 東京医科大学 消化器・小児外科学分野 主任教授/副院長・診療科長 >
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経歴

1994年 東京医科大学卒業、同年 東京医科大学消化器・小児外科学分野入局。2002年 米国Johns Hopkins大学外科へ留学。2017年 東京医科大学消化器・小児外科学分野准教授、2021年 同教授、2022年 主任教授に就任。膵臓手術は2,000例以上の経験を有する。

専門分野

消化器全般、小児外科全般、肝胆膵外科、膵癌、胆道癌、低侵襲手術(腹腔鏡下手術・ロボット支援手術)

膵臓がん・胆道がんなど高難度な肝胆膵疾患の手術が必要な場合、当院は永川教授をはじめとする東京医科大学病院 肝胆膵外科グループと密に症例検討を行い、迅速かつシームレスな連携診療を行っています。


受診の流れ

  1. 初診

    かかりつけ医からのご紹介、または健診異常などをきっかけにご受診ください。

  2. 当院での精密検査

    超音波・CT・MRI・EUS・ERCPなどにより診断を確定します。

  3. 治療方針のご説明

    当院での治療(内科的治療・腹腔鏡下手術など)、または東京医科大学病院へのご紹介など、患者さんの状態に応じた方針をご説明します。

  4. 高度治療が必要な場合は東京医科大学病院へシームレスにご紹介

    密な症例検討のもと、迅速につなぎます。

  5. 大学病院での治療後

    当院にて継続診療、経過観察、リハビリテーションなどを継続します。


担当医師について

肝胆膵領域は、消化器外科部長である杉山 祐之(すぎやま ゆうじ)医師を中心に、胆道・膵臓疾患を専門とする消化器内科・消化器外科の医師が連携して診療にあたっています。担当医師の詳細は医師紹介ページをご覧ください。

 消化器病センター(内科・外科)

※掲載内容は一般的な情報です。症状や治療方針については、診察をしたうえで担当医よりご説明いたします。