厚生中央コラム

【整形外科】不足しがちなビタミンDを数値で確認!早めの対策を!

もしかしてビタミンDが欠乏状態かも

ビタミンDは骨や筋肉を丈夫に保つ大切なビタミンです。若いうちから十分に保つことで、将来の骨折リスクを減らせるといわれています。デスクワークや日焼け対策の影響で、若い人でも不足しがちです。ビタミンDが足りているかどうかは、体の状態からはわかりにくく、健康な方でも測定してみないと評価ができません。まずは自分のビタミンDの状況を把握して、普段の健康づくりに役立てましょう。

<参考1.2>

血清25OHビタミンD濃度の目安

血清濃度 判定基準 推奨
12ng/mL未満 欠乏状態 骨が徐々に脆弱化しているおそれがあります。受診しましょう。
20ng/mL以下 ビタミンDをしっかり摂取しましょう。
20~30ng/mL 不足状態 ビタミンDをもう少し増やしましょう。
30ng/mL以上 充足状態 今までどおりの生活を続けましょう。
100ng/mL以上 過剰の可能性 摂取の仕方を見直しましょう。

<参考3.4>

ビタミンDとは?

ビタミンDの主なる作用はカルシウム代謝の調整です。カルシウムを食事から吸収し、血清カルシウム値をほぼ一定に保ち体調を維持する、強い骨を作る、筋肉の働きを改善し転倒を防ぐ、などの作用のあるホルモンです。 
その他、神経の働きを改善する、免疫系を強くする、血糖コントロールを良好にするなどの、好ましい作用があるだろうと考えられています。
適度な血中濃度を保つことが求められます。

<参考4~10>

ビタミンDが不足すると問題は?

  • 骨折するリスク、転倒リスクが高まります。
  • 骨粗鬆症治療薬の効果が得られにくくなります。
  • 低カルシウム血症になると体調が悪くなります。(筋力低下、テタニー、不整脈、など)
  • 赤ちゃん~子供ではくる病、成人では骨軟化症を生じます。
  • 副甲状腺機能亢進症が、代償的に生じます。(二次性副甲状腺機能亢進症) など


<参考3>

血清25OHビタミンDが不足の頻度はきわめて高い

世界中で不足している状態といわれています。
日本での調査で、約98%で不足(欠乏)しているとの結果があります。(下図)
デスクワークや日焼け対策の影響で、若い人でも不足しがちです。

<参考11>

 

血清25OHビタミンD濃度(貯蔵型ビタミンD)を増やす方法

  • 日光浴は皮膚でビタミンDを作ります。しかし皮膚の健康にはよい影響ばかりではありません。
  • 魚はビタミンDを多く含みますが、その他の食物ではほとんどないかわずかです。
  • 天然型ビタミンDサプリメントの使用

天然型ビタミンDサプリメントの適切な摂取量

 天然ビタミンDとして、他の食品などとあわせて、1日摂取量の平均と上限量

年齢 推奨摂取量(a) 摂取基準(b) 耐容上限量(c)
0~12か月 10 ㎍/日(400 IU/日) 5㎍/日 25 ㎍/日
1~13歳 15 ㎍/日(600 IU/日) 3.5~8.0㎍/日 25~80㎍/日
14~18歳 15 ㎍/日(600 IU/日) 9.0㎍/日 90~100㎍/日
19~70歳
71歳以上 20 ㎍/日(800 IU/日)

※(b)(c)の1~13歳では年齢により細かく規定されています。今回の表では簡略化しています。該当する年齢の場合には、ご注意ください。
※(a)参考文献12参照 アメリカでの推奨摂取量で、日光暴露が少ないことを考慮した推奨量である。
※(b)参考文献13参照 厚生労働省による。日光暴露を十分に推奨することが前提の摂取基準である。
※(c)参考文献13参照

<参考12~14>

天然型ビタミンDサプリメントのリスク

通常の摂取では、副作用はほぼありません。
1日の摂取量の上限量は、 かなりな安全域を設けたうえで、14歳以上では90~100 ug/ 日とされています。
ビタミンDを摂取しすぎると高カルシウム血症が生じるリスクがあるとされますが、血清25OHビタミンD濃度としては150ng/mLを超えるとリスクが高まるとされています。上記の表に耐容上限量が記載されています。 

<参考4.14~16>

天然型ビタミンDサプリメントの留意点

天然型ビタミンD単独の補助食品(サプリメント)が調節し易いので安全です。
補助食品は、病院で処方箋を発行できません。 
カルシウムは600mg/日が目安で、カルシウムも摂りすぎは避けましょう。

高カルシウム血症とは

喉の喝き、吐き気、筋力低下、腎結石、腎機能障害、イライラ感、精神障害、心電図異常などの症状が生じます。
原因は、活性型ビタミンD(処方薬)がもっとも頻度の高い原因です。
その他、高カルシウム血症になる疾患(副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍、など)があります。 
ときどき血液中のカルシウム値を測定しましょう。

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※成人では、25㎍のサプリメントとして、 1週間に 3.5 (隔日)~7錠を目安に、均等に摂取してください。
※体内で2~3週間は貯蔵されますので、一時的な飲み忘れは心配ありません。
※1日の摂取目安量を守ってサプリメントをお飲みください。

参考

天然型ビタミンDの代謝経路

  • 天然型ビタミンDは、日光により皮膚で産生される、もしくは食物から摂取されます。
    体内に入ると、すぐに25OHビタミンD(貯蔵型)に変換されます。
  • 貯蔵型ビタミンDは体内で約2~3週間安定して存在します。血液検査で測定できるのは、貯蔵型ビタミンDの充足度です。
  • 血清カルシウム値の恒常性維持のため、カルシウム値が低下すると、腎臓で活性型ビタミンDに変換されます。
  • 活性型ビタミンDは、腸管でカルシウムを吸収、腎臓でカルシウムの再吸収を促進することで血清カルシウム値を保ちます。


活性型ビタミンD(主に処方薬)の作用機序

日本で処方箋で処方できる薬剤はほぼ活性型ビタミンDのみです。
活性型ビタミンD剤は、正常な代謝経路を経由せずに、血清カルシウム値に関わらず、血清カルシウム値を上昇し続けます。
血清カルシウム値をときどき測定しておきましょう。


天然型と活性型の比較

項目 天然型ビタミンD 活性型ビタミンD
特徴 自然な代謝経路を辿り、血清カルシウム値の恒常性を維持、安全性が高い すでに活性化されており、有効性が高いが、高カルシウム血症のリスクある
腎臓での調節性 あり なし
主な用途 ビタミンD不足の補充
骨粗鬆症治療補助
腎臓機能障害時
特殊なカルシウム代謝疾患
日本では骨粗鬆症
高カルシウム血症 通常使用ではほとんどない 時々生じる
骨粗鬆症治療での立場 海外では骨粗鬆症補助として第一選択 日本では骨粗鬆症に広く使用
半減期など 2~3週間安定 17~53時間

<参考17>

参考文献

1)竹内靖博: 骨粗鬆症における25-ヒドロキシビタミンD測定の意義
2)Yoshimura N, et al: Seram levels of 25-hydroxyvitamin D and the occurrence of musculoskeletal diseases: a 3-year follow-up to the road study. Osteoporos Int 26:151-161, 2015
3)日本内分泌学会、日本骨粗鬆症学会、厚生労働省難治性疾患克服研究事業ホルモン受容機構異常に関する調査研究版: ビタミンD不足・欠乏の判定指針.  日本内分泌学会雑誌93 Supple, 1-10, 2017
4) Amerin K, et al: Vitamin D deficiency 2.0; an update on the current status worldwide. Eur J Clin Nutr 74: 1498-1513, 2020
5) NCI/Office of dietary supplements/Fact Sheet for health professionals/Vitamin D. https://ods.od.nih.gov/factsheets/vitaminD-HealthProfessional/(閲覧日2026/2/15)
6) 厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』 https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/10.html
(閲覧日2026/2/2/15)  
7)太田博明: Overview: ビタミンD update 2020. 日骨粗鬆症会誌7: 153-158, 2021
8)吉村典子: 骨代謝マーカーの骨粗鬆症検診への応用:25-ヒドロキシビタミンDを中心に.  日骨粗鬆症会誌8: 267-268、2021
9)乾泰地: 口腔衛生と免疫機能―概説. 日骨粗鬆症会誌7: 159-162, 2021
10) Tamaki J,  et al: Total 25-hydroxyvitamin D levels predict fracture risk: results from the 15-year follow-up of the Japanese population-based osteoporosis (JPOS) cohort study. Osteoporosis Int 28: 1903-1913, 2017
11) Miyamoto et al: Determination of a Serum 25-Hydroxyvitamin D Reference Ranges in Japanese Adults Using Fully Automated Liquid Chromatography-Tandem Mass Spectrometry. J Nutr 153, 1253-1264, 2023
12) Food and Nutrition Board, Institute of Medicine:Dietary Reference Intakes for Calcium and Vitamin D. Washington, DC:The National Academies Press. pp403-456, 2011
13)厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書:令和6年10月11日  https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html  (閲覧日2026/2/15)  
14)田中清: ビタミン不足の臨床的・社会的意義に関する研究. ビタミン93: 325-333, 2019
15) Hollick MF: Vitamin D Deficiency. N Engl J Med 357: 266-281, 2007
16) Holick MF, et al: Evaluation, treatment, and prevention of vitamin D deficiency: an endocrine society clinical practice guideline. J Clin Endocrinol Metab 96: 1911-1930, 2011
17) Uemura O: Reconsiderering the widespred use of active vitamin D analogues for osteoporosis in Japan: A call for ecidence-based prescription practices. JMA  doi: 10.31662/jmaj.2025-0401 https://www.jmaj.jp/

※掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。

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