中央検査科

特色

臨床から依頼を受けた検査を迅速かつ正確に行い、診断と治療に有効な患者様の情報を臨床に提供しております。

中央検査科は検体検査部門、輸血検査部門、病理部門、生理機能検査部門の4部門から構成されております。それぞれの部門が検査の基幹として診断と治療に携わり、患者様を中心としたチーム医療において重要な責任を担っております。

積極的に専門資格の取得に取り組んでおり、各種学会に参加し最新の医学的知見を学び、根拠に基づく医療(EBM)の実践を目指しております。また、学術・教育的側面から近隣の臨地実習生の受け入れや地域での講演、学会発表・論文投稿など検査のエキスパートとして臨床だけでなく教育・研究にも力をいれております。

検査を終了した残余検体につきまして

個人情報を削除し、匿名化した上で検査機器の精度管理や臨床検査技師を目指す学生の実習に使用させていただくことがございます。
残余検体の使用に関しまして拒否される場合は、中央検査科または検査時(採血等)に職員までお申し出ください。拒否された場合であっても診療に一切の不利益を被ることはございません。

中央検査科 認定取得資格一覧

2023年3月時点

認定機関 取得資格 人数
日本臨床検査同学院 二級臨床検査士(血液) 1
二級臨床検査士(病理) 3
二級臨床検査士(免疫血清) 1
二級臨床検査士(循環生理) 1
緊急臨床検査士 2
日本臨床細胞学会 細胞検査士 3
国際細胞学会 国際細胞検査士 2
日本超音波医学会 超音波検査士(循環器) 3
超音波検査士(消化器) 1
超音波検査士(産婦人科) 2
日本糖尿病療養指導士認定機構 糖尿病療養指導士 1
日本バイオ技術教育学会 中級バイオ技術者 1
消防試験研究センター 危険物取扱者乙種第4類 1
日本検査血液学会 認定血液検査技師 1
日本臨床衛生検査技師会 精度管理責任者 2
臨地実習指導者 1
検体採取等に関する厚生労働省
指定講習会受講者
13
厚生労働省 有機溶剤作業主任者 1
特定化学物質・四アルキル鉛等
作業主任者
1
毒物劇物取扱責任者 1

中央検査科 学術集会・講演会発表

2023年3月時点

日付 場所 主催 題名 発表者
2018/6/13 厚生中央病院
講義室
厚生中央病院
栄養科
動脈硬化 冨田 美小夜
江口 真緒
2018/7/1 三重県鈴鹿市 第21回日本医薬品情報学会
総会・学術大会
多発性骨髄腫の新薬「Daratumumab(ダラザレックス)」投薬中
患者の輸血検査について
赤塚 貴紀
2018/9/12 厚生中央病院
講義室
厚生中央病院
栄養科
検査でわかる栄養状態の読み方教えます 石川 由佳
2018/10/18 目黒区役所 目黒区健康推進課
健康づくり係
健康診査を受けていますか? ~検査結果の見方、その活かし方~ 江口 真緒
2018/12/13 厚生中央病院
講義室
厚生中央病院
栄養科
わたしは何歳? ~血管年齢と実年齢~ 本村 昌子
2019/2/22 神戸国際展示場 第34回日本環境
感染学会学術集会
院内にある書籍の汚染状況について(外来共用書籍の汚染度調査) 赤塚 貴紀
2019/4/11 厚生中央病院
講義室
厚生中央病院
栄養科 栄養教室
「脂かたぶら~」(脂質異常症について) 内藤 彩瑛
2019/8/3 大阪府大阪市 第19回日本亜鉛栄養治療研究会・第2回
ポスターセッション
心不全が疑われ心カテ又はPCIを実施した患者における血清亜鉛の関連性について 赤塚 貴紀
2019/8/3 厚生中央病院 厚生中央病院
域連携広報室
夏休みこどもワークショップ病院で自由研究 ~血液型の調べ方~ 冨田 美小夜
本村 昌子
野口 直樹
2019/12/3 目黒医師会館 厚生中央病院 健診結果の見方と活かし方 赤塚 貴紀
2020/4/1 目黒区医師会館 新型コロナウイルス感染症対策セミナー 目黒区医師会PCRセンター開設へ 赤塚 貴紀
2023/1/27 グランドニッコー 東京 台場 日本総合健診医学会第51回大会 便中カルプロテクチン(FC)測定の有用性について 赤塚 貴紀
冨田 美小夜
本村 昌子
内藤 彩瑛
森 彩乃

中央検査科 論文投稿

2023年3月時点

日付 出版 主催 題名 著者
2018年11月 医学書院 臨床検査 11月号 骨粗しょう症と亜鉛の関連性 赤塚 貴紀
2020年8月 (株)宇宙堂八木書店 臨床検査 11月号 医療と検査機器・試薬 Vol.43 2020 No.4 赤塚 貴紀
野口 直樹
出沢 舞
西園 明将
2020年12月 医学書院 臨床検査 12月号 冠動脈疾患と血清亜鉛 赤塚 貴紀
2021年12月 (株)宇宙堂八木書店 医療と検査機器・試薬 Vol.44 2021 No.6 「OCーカルプロテクチン’栄研’」における基礎的検討 赤塚 貴紀
冨田 美小夜
本村 昌子
内藤 彩瑛
2022年11月 日本総合健診医学会(JHEP) 総合健診49巻6号 SARS-CoV-2抗体価(S抗体)測定時にプロゾーン現象を
生じた症例
赤塚 貴紀
野口 直樹
出沢 舞
西園 明将

生化学検査

生化学検査は体液中(主に血液)の化学成分を分析します。その上昇または低下によって病態を推測します。重篤な病気だけでなく、生活習慣病といった日常に深く関わる病気の発見にも役立ちます。当院で行っている主な検査項目について簡単な御紹介をします。

肝機能状態を知る

AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、LDH、γ-GTP、総ビリルビン(T-Bil)、総蛋白(TP)、アルブミン(ALB)、A/G比

腎機能状態を知る

尿素窒素(BUN)、クレアチニン(CRE)

代謝系の状態を知る

血糖 (Glu)、中性脂肪(TG)、総コレステロ-ル(TC)、HDL、LDL、尿酸(UA)、カルシウム(Ca)、アミラ-ゼ(AMY)、ヘモグロビンA1c(HbA1c)

検査項目

2020年12月現在

  項目名 単位 基準値 説明
蛋白 TP(総蛋白) g/dl 6.6-8.1 血液中の様々な種類の蛋白質の総量値です。体の栄養状態と肝・腎機能の指標になります。
ALB(アルプミン) g/dl 4.1-5.1 蛋白質の中で最も多く含まれます。体の栄養状態や脱水症状、胸水・腹水・浮腫がある場合、肝機能や腎機能などを反映します。
A/G比   1.32-2.23 血中のアルブミン(A)とグロブリン総量(G)の比を算出したもので、重症肝疾患で低下します。
心・肝・胆・膵 T-BIL mg/dl 0.4-1.5 黄疸の程度を測定します。総ビリルビン量と直接ビリルビンは、肝・胆道の疾患や黄疸の原因を見分けるのに重要です。
D-BIL mg/dl 0.5未満
AST(GOT) IU/L 13-30 肝炎や肝硬変などの肝疾患、心筋梗塞などの疾患で高値を示します。
ALT(GPT) IU/L 男0-42 肝炎や肝硬変などの肝疾患で高値を示します。
女7-23
γ-GTP IU/L 男13-64 肝・胆道系が障害されると高値を示します。アルコール性や薬剤性肝障害、胆汁うっ滞等で上昇し、特にアルコールによる肝障害に敏感に反応します。
IU/L 女9-32
ALP(アルカリホスファターゼ) IU/L 106-322 肝・胆道、骨、小腸に多い酵素で、悪性腫瘍の肝および骨転移が疑われる時に重要視されます。
LDH IU/L 124-222 体中ほとんどに分布する酵素で、貧血、炎症、腫瘍など汎用的な検査として実施されます。
CHE(コリンエステラーゼ) U/L 男240-486 主に肝疾患により低下し、ネフローゼ症候群や肥満などで高値を示します。
女201-421
LAP(ロイシンアミノペプチダーゼ) IU/L 33-75 さまざまな臓器や胆汁中に広く分布します。黄疸の種類を見分けたり肝・胆道系疾患の診断や経過観察などに用いられます。
AMY(アミラーゼ) IU/L 44-132 主に膵臓や唾液腺から分泌される消化酵素で慢性・急性膵炎や耳下腺炎で上昇します。
CPK IU/L 男59-248 骨格筋や心筋が壊されると上昇し、急性心筋梗塞の初期診断において有用です。非常に敏感な酵素なので正常者でも運動やマッサージ、筋肉注射でも高値を示します。
女41-153
BNP pg/ml 0-18.4 心臓から分泌されるアミノ酸で体液量や血圧の調整をしています。心臓に負担がかかると血中濃度が上昇するので、心疾患の病態把握や予後の推定に有用です。
脂質 TC(総コレステロール) mg/dl 142-248 コレステロール血症のスクリーニング検査です。高値は動脈硬化の危険因子になります。
HDL-C(HDLコレステロール) mg/dl 男38-90 一般に善玉コレステロールと呼ばれ血管壁に溜まった余分なコレステロールを肝臓に戻します。低値は動脈硬化の危険因子になります。
女48-103
LDL-C(LDLコレステロール) mg/dl 65-163 一般に悪玉コレステロールと呼ばれコレステロールを肝臓から各臓器に運びます。高値は動脈硬化疾患、特に冠動脈疾患のリスクが高くなります。
TG(中性脂肪) mg/dl 男40-234 動脈硬化の危険因子です。食後では高くなるので、採血は空腹時に行います。また、高度の高グリセリド血症では急性膵炎を引き起こすリスクがあります。
女30-117
腎・電解質 BUN(尿素窒素) mg/dl 8-20 腎機能の指標として広く利用され、腎不全、消化管出血、火傷や高たんぱく食摂取で高値になります。
CRE(クレアチニン) mg/dl 男0.65-1.07 腎機能の指標として広く利用され、筋疾患も知ることが出来ます。高値は腎機能の低下を意味します。
mg/dl 女0.46-0.79
シスタチンC mg/L 0.61-0.95 全身の臓器から一定量産生されている蛋白質で食事、年齢、性別、筋肉量などの影響を受けません。BUN、Crに並ぶ腎機能の指標のひとつで軽度の腎機能障害に有用な検査と言われています。
eGFR(推算糸球体濾過量)   90以上 腎臓が老廃物を尿に排泄する能力を調べます。数値が低いほど腎機能が低下しています。
UA(尿酸) mg/dl 男3.7-7.8 プリン体が分解された後の老廃物です。血液に溶けにくいので関節に蓄積すると痛風になります。食事やアルコール、運動に影響を受けやすい項目です。
mg/dl 女2.6-5.5
Na(ナトリウム) mEq/l 138-145 体内の水分の調整、神経の活動などの細胞活性を担う成分です。各成分のバランスにより診断します。
K(カリウム) mEq/l 3.6-4.8
Cl(クロール) mEq/l 101-108
Ca(カルシウム) mg/dl 8.7-11.0 骨代謝だけでなく筋収縮、血液凝固にも必須な物質です。
IP(リン) mg/dl 2.7-4.7 副甲状腺ホルモンおよびビタミンDにより調整される重要な無機質です。
GLU(血糖) mg/dl 73-109 筋肉や脳のエネルギー源で糖尿病の診断の為の基本的な検査です。食事の前後で変化が大きくなります。
OGTT(糖負荷) mg/dl 140以下 ブドウ糖を内服し一定時間ごとに血糖を測定します。血糖の推移をみて糖代謝を検査します。
HbA1c(ヘモグロビンA1c) 4.9-6.0(NGSP) 過去1~2ヶ月の平均的な血糖値の指標です。糖尿病コントロールの指標になります。
GA(グリコアルブミン) 11.0-16.0 過去1~2週間の平均的な血糖値の指標です。
インスリン μU/ml 0-18.7 血糖を筋肉や臓器に取り込むホルモンです。糖尿病や低血糖の鑑別や状態の把握に用いられます。
C-ペプチド ng/ml 0.8-2.5 インスリンの前駆物質の構成成分です。インスリンの分泌機能の評価に有用です。

免疫血清検査

血清関連

CRP、RF、ASO、フェリチン、トロポニンT、KL-6、PCT、sIL-2R

感染症関連

B型肝炎検査(HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体)、C型肝炎検査(HCV抗体)、梅毒検査(RPR、TPLA) 、HIV抗体

腫瘍マーカー関連

AFP、CEA、CA19-9、CA125、PSA、freePSA、CA15-3、シフラ、PIVKA-Ⅱ、SCC

内分泌関連

FT3、FT4、TSH、インスリン、C-ペプチド、BNP

迅速検体検査

インフルエンザウイルス、マイコプラズマ抗原、アデノウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス抗原、A群ベータ溶血連鎖球菌抗原

検査項目

2020年12月現在

  項目名 単位 基準値 説明
感染症 HBs抗原 IU/ml 0-0.0049 B型肝炎ウイルス外皮の表面抗原を調べます。抗原陽性(基準値以上)は現在の感染を意味します。
HBs抗体 IU/ml 0-9.9 B型肝炎ウイルス外皮の表面抗体を調べます。抗体陽性(基準値以上)は過去の感染既往、ワクチン接種後を意味します。
HBc抗体 IU/ml 0-0.99 抗体陽性(基準値以上)は現在の感染、過去の感染既往を意味します。
HCV抗体 C.O.I. 0-0.9 C型肝炎ウイルスの検査です。
HIV抗体 C.O.I. 0-0.9 HIVウイルス(エイズ)の検査です。
RPR R.U. (-) 梅毒の感染の有無を調べる検査です。治癒後でもTPLA(梅毒抗体)はしばらく陽性になります。
TPLA T.U. (-)
腫瘍マーカー AFP ng/ml 0-7.0 肝炎、肝硬変、肝癌で上昇する腫瘍マーカーです。
CEA ng/ml 0-5.0 消化管(胃、大腸など)や肺などの悪性腫瘍で上昇する腫瘍マーカーです。
CA19-9 U/ml 0-37.0 主に膵癌、胆のう癌をはじめとする各種消化器癌で上昇する腫瘍マーカーです。
PSA ng/ml 0-4.0 前立腺癌の早期発見に使用され、また前立腺肥大でも上昇する腫瘍マーカーです。
free-PSA ng/ml   PSAとの割合で前立腺癌と前立腺肥大等と鑑別しうる腫瘍マーカーです。
CA125 U/ml 0-35.0 主に卵巣癌で上昇する腫瘍マーカーで、子宮内膜症や子宮筋腫の時にも上昇します。また月経中や妊娠時にも高値になる事があります。
KL-6 U/ml 105-435 間質性肺炎の時に上昇します。また、間質性肺炎の病態をよく反映するので疾患の活動に応じて値が変化します。
シフラ ng/ml 0-4.0 肺癌で上昇する腫瘍マーカーです。
CA15-3 U/ml 0-31.3 乳がんで上昇する腫瘍マーカーです。
PIVKAⅡ mAU/ml 0-40 肝細胞癌で上昇する腫瘍マーカーです。
トロポニンT ng/ml 0-0.09 急性心筋梗塞を早期に発見出来るマーカーです。
内分泌 FT3 pg/ml 2.3-4.0 甲状腺ホルモンの一種で甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)で高値、機能低下症(橋本病)で低値になります。
FT4 ng/dl 0.90-1.70
TSH μIU/ml 0.5-5.0 甲状腺ホルモンの一種で甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)で低値、機能低下症(橋本病)で高値になります。
インスリン μU/ml 0-18.7 血糖を筋肉や臓器に取り込むホルモンです。糖尿病や低血糖の鑑別や状態の把握に用いられます。
C-ペプチド ng/ml 0.8-2.5 インスリンの前駆物質の構成成分です。インスリンの分泌機能の評価に有用です。
BNP pg/ml 0-18.4 心臓から分泌されるアミノ酸で体液量や血圧の調整をしています。心臓に負担がかかると血中濃度が上昇するので、心疾患の病態把握や予後の推定に有用です。
貧血 フェリチン ng/ml 男50-200 鉄の貯蔵量を表します。鉄欠乏貧血の時に低値になり、急性や慢性の炎症、肝疾患などで高値になります。
女12-60

輸血関連

日中は専任の技師が担当し、夜間・休日は夜勤者・日勤者が対応することで24時間輸血対応が可能な体制をとっております。当院では全自動輸血検査機器を導入しており、より安全な輸血の実施が可能となっています。
不規則抗体検査、間接クームス試験、直接クームス試験、交差適合試験、血液型検査

新型コロナウイルス関連

迅速抗原検査、抗原定量検査、核酸増幅検査(PCR検査)

血液検査

血液検査室では大きく分けて血球数算定、血液像検査、凝固機能検査、骨髄検査があります。

血球数算定(血算)

採血した静脈血を自動血球計数器で測定します。
検査できる主な項目は白血球数(WBC)、赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット値(Hct)、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)、MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)、血小板数(Plt)、網赤血球(Ret)です。

血液像

自動血球計数器で異常値を示した場合や、装置から何らかのメッセージがあった場合は、塗抹標本を作製して光学顕微鏡で観察して白血球を分類します。同時に赤血球や血小板の形態を観察します。

青矢印:白血球 / 赤矢印:赤血球 / 黄矢印:血小板

凝固機能検査

出血傾向がある場合、手術や内視鏡検査など出血を伴う検査をする前、抗凝固薬を服用されている時に薬の効き目を知るためなどに行う検査です。
検査項目:PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、Fbg(フィブリノゲン)、アンチトロンビン、FDP、DD(Dダイマー)、FM(フィブリンモノマー複合体)

骨髄検査

赤血球、白血球、血小板は骨髄で造られます。血液疾患や癌の骨髄転移が疑われる場合に行われる検査です。血液と同じ普通染色で観察し、必要に応じて特殊染色(ペルオキシダーゼ染色、エステラーゼ染色、PAS染色、鉄染色)をして細胞を分類します。

オレンジ矢印:異常細胞

検査項目

2020年12月現在

  項目名 単位 基準値 説明
血液一般・貧血 WBC(白血球) x103 3.3-8.6 病原微生物から体を守る血球です。炎症の診断や経過観察、白血病などの検査に用いられます。
RBC(赤血球) x106 男4.35-5.55 貧血、多血症の診断に用いられる基本的な検査です。
女3.86-4.92
Hb(ヘモグロビン) g/dl 男13.7-16.8 酸素を運ぶ成分です。貧血の検査に用いられます。
女11.6-14.8
Ht(ヘマトクリット) 男40.7-50.1 血液中の赤血球の割合をパーセントであらわした値です。貧血の検査に用いられます。
女35.1-44.4
PLT(血小板) x103 158-348 止血をする血球です。全身の状態を見たり、出血がしやすい、または血栓がある場合に血小板によるものかどうかを調べます。
RET(網状赤血球) 0.5-2.6 骨髄で作られたばかりの若い赤血球です。骨髄で赤血球がたくさん作られると増加し、白血病などでは低値になります。貧血の検査として有用です。
MCV fl 83-100 貧血、多血症等の診断に用いられる基本的な検査です。
(MCV:平均赤血球容積、MCH:平均赤血球ヘモグロビン量、MCHC:平均赤血球ヘモグロビン濃度)
MCH pg 28-34
MCHC 32-36
Fe(鉄) μg/dl 40-188 血液中に含まれる鉄です。貧血の種類や状態、鉄代謝異常を調べる検査です。
UIBC μg/dl 男111-255
女137-325
フェリチン ng/ml 男50-200 鉄の貯蔵量を表します。鉄欠乏貧血の時に低値になり、急性や慢性の炎症、肝疾患などで高値になります。
女12-60
凝固系 PT INR 0.8-1.3 血液の凝固能を調べる検査です。PT延長、APTT延長の時、出血傾向が見られます。また抗凝固薬の調節(ワーファリン:PT、ヘパリン:APTT)や肝臓病の重症度の判定をします。
APTT 26.1-35.6
FDP μg 0-4.9 血栓が分解されて出来た成分です。血栓症の診断や、血栓融解療法時のモニタリングに用いられます。
D-D μg/ml 0-0.5
FM μg/ml 0-6.1 血栓の形成を反映する検査です。

一般検査

一般検査では、尿定性検査をはじめ尿沈渣検査、便検査、髄液検査、穿刺液検査、精液検査を行っています。

尿検査

定性検査(10項目)

尿試験紙法による定性検査では、腎・泌尿器疾患をはじめ、内科系疾患などのスクリーニング検査としても広く用いられています。

項目 関連疾患
比重 腎疾患、糖尿病など
PH 腎疾患、尿路疾患、脱水など
尿蛋白 腎疾患、尿路疾患、溶血性貧血など
尿糖 腎性糖尿、糖尿病など
ケトン体 重症糖尿病、内分泌疾患など
潜血 糸球体性疾患、尿路腫瘍、結石、尿路感染症など
ウロビリノーゲン 肝障害、溶血性貧血など
ビリルビン 肝障害、胆道閉塞など
亜硝酸塩 尿路感染症
白血球反応 尿路感染症、尿路の炎症性病変など
尿沈渣検査

尿を遠心分離器にかけ、沈殿成分を顕微鏡による鏡見法や自動分析器によって検査しています。尿中成分を正確に分類することで、腎・泌尿器系病変の有無や治療効果などを判定していきます。

尿中成分:上皮細胞類、非上皮細胞類(血球類)、円柱類、塩類・結晶類、微生物類

便検査

大腸がんや炎症性腸疾患のスクリーニングを目的とした検査です

便潜血検査

肉眼的には確認できない便中への微量な出血を検出し、消化管出血の有無を検査しています。

髄液検査

髄液(脳脊髄液)は、脳および脊髄のくも膜下腔と脳室内を満たす無色透明の液体です。
検査目的として、髄膜炎や脳炎などの中枢神経系感染症のほか、くも膜下出血、ギラン・バレー症候群、多発性硬化症、脳腫瘍などの診断・治療のために行います。

穿刺液検査

胸水や腹水、気管支洗浄液の検査を行っています。

胸水、腹水検査

胸腔内および腹腔内に多量に貯留した液体を検査することで、体腔液が貯留した原因や病態を推定することができます。

気管支洗浄液検査

気道内に生理食塩水を流し込み、吸引した液体を検査することで、様々な呼吸器疾患の診断・治療効果の判定を行うことができます。

精液検査

男性不妊症の診断・治療を目的として行われる検査です。
検査項目は精液量、精子数、運動率、奇形率、赤血球数、白血球数を行っています。

検査項目

2020年12月現在

  項目名 単位 基準値 説明
尿 尿中比重   1.005-1.025 尿の比重を測定し腎臓の機能を診断します。
尿中pH   5.0-8.0 通常は中性~弱酸性で、各疾患や食事、運動、細菌繁殖等で変動します。
尿中蛋白定性   (-) 尿の蛋白を調べる事で腎疾患、体調不良などを調べます。
尿中糖定性   (-) 糖尿病のような高血糖を起こす疾患や腎機能に障害がある時に(+)になります。
尿中ケトン体   (-) 糖尿病や食事摂取不良時等で(+)になります。
尿中潜血反応   (-) 腎臓や尿路の炎症、結石、膀胱炎、腫瘍などで出現する血尿をみる検査です。健常者でも(+)になることがあります。
尿中ウロビリノーゲン定性   1.0以下 ビリルビンの代謝産物です。肝障害や溶血性貧血等で陽性に、胆道閉塞等で陰性になります。
尿中ビリルビン定性   (-) 肝障害や胆道閉塞に対するスクリーニングとして用いられます。
尿沈渣     尿中の細胞、血球、細菌、結晶成分を顕微鏡で検査をして診断の補助をします。
便 潜血   (-) 便に血液が付着していないかを調べます。大腸に出血があると(+)になります。

病理検査

病変の一部や手術検体から顕微鏡標本を作製し、癌などの病気を正確に診断する部門です。大きく分けて、『病理組織検査』、『細胞診検査』、『病理解剖』があります。

病理組織検査

内視鏡、生検、手術により摘出された組織材料を調べる検査です。組織は、薄く切り、染色し、標本を作製します。この標本を病理医が顕微鏡で観察し、良悪の鑑別、診断名、病変の広がり、治療効果や予後の判定など確定診断を行います。必要に応じて特殊染色や免疫染色を行い診断に役立てています。手術中の限られた時間内に良悪の鑑別や摘出範囲を決める際には、術中迅速診断を行います。

細胞診検査

尿、喀痰、子宮頸内膜、体腔液、乳腺、甲状腺などの細胞を、スライドガラスに塗り、染色し、標本を作製します。この標本を細胞検査士、細胞診指導医が顕微鏡で観察し、良悪の判定・診断を行います。組織検査に比べ患者さんへの侵襲も少なく、癌などの病気の早期発見に有用な検査のひとつです。

病理解剖

病気で亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、死因の解明や病気の広がり、治療効果の判定を行います。今後の診断・治療の向上に寄与しています。

生理検査

患者様に直接触れ検査を行い、体の信号や情報、体の構造を調べます。心電図検査、肺機能検査、脳波検査、超音波検査など様々な検査を行っています。患者様に負担が掛からないよう考慮し迅速かつ正確な検査結果を提供できるよう努めています。また、患者様の状態を早く捉えることのできる部門であるため、どのような状況にも対応出来るよう知識と技術の向上に日々邁進し、病院の理念と共に寄り添った医療を皆様に提供できるよう心がけて参ります。

心電図

検査目的

体表に置いた電極を介して、心臓の電気的変化を検出し波形として記録したものです。 不整脈・心筋梗・狭心症などの診断に有用です。

検査にかかる時間

5分

ホルター心電図

検査目的

約24時間、小型の機械を装着して頂き心電図を記録します。日常生活の心電図異常を検出する検査です。
装着当日はシャワーのみ可、入浴はできません。

検査にかかる時間

10分(解析時間10日程度)

血圧付きホルター心電図

検査目的

約24時間、機械を装着して頂き心電図と血圧を記録します。日常生活の心電図異常と血圧の日内変動を調べる検査です。 装着当日はシャワーも入浴もできません。

検査にかかる時間

15分(解析時間10日程度)

心臓超音波検査

検査目的

胸壁より超音波を当て、心臓の形・大きさ・動きに加えて心内血流の状態を画像として描出、計測する検査です。冠動脈疾患・先天性心疾患・弁膜症などの診断に有用です。

検査にかかる時間

15~30分

頸動脈超音波検査

検査目的

頸部より超音波を当て、頸動脈の血管内状態を確認する検査です。

検査にかかる時間

30分

下肢静脈超音波検査

検査目的

脚に超音波を当て、下肢静脈の血管内状態を確認する検査です。検査前にお手洗いを済ませておいてください。

検査にかかる時間

30~40分

血圧脈波検査

検査目的

両手足の血圧と心音から動脈の硬さや詰まりの程度を調べる検査です。血液透析のシャントがある場合はその部位の測定はできません。

検査にかかる時間

10分

脳波検査

検査目的

頭皮に電極を貼り、脳からの電位変動を記録します。覚醒時・睡眠時の変化の有無、音・呼吸・光などの刺激による変化の有無を記録します。

検査にかかる時間

40~50分

末梢神経伝達速度検査

検査目的

主に手や脚の神経上で電気刺激を行い、興奮が伝わる速度を測定します。電気刺激による痛みを伴う検査です。

検査にかかる時間

30~40分

筋電図検査

検査目的

筋に針を刺し電気刺激を行い、筋が収縮するときの電位変化を記録します。 神経や筋の状態を診断する上で有用です。医師が施行する検査です。痛みを伴う検査です。

検査にかかる時間

60分

聴性脳幹反応検査

検査目的

耳からの音刺激が超神経、脳幹まで伝わっているか調べる検査です。 眠った状態で行う場合があります。

検査にかかる時間

60分

呼吸機能検査

検査目的

肺の働き具合を調べる検査です。喘息・肺気腫の診断に有用です。気管支拡張剤の吸入前後を検査して改善の有無を調べることもあります。 また、手術前の体力評価に重要です。

検査にかかる時間

10分

トレッドミル検査

検査目的

心電図と血圧計をつけた状態でベルトコンベアの上を歩いて頂く検査です。
心電図と血圧の変化から運動負荷による心臓の状態を調べます。医師立ち合いのもと実施される検査です。運動しやすいお支度でお越しください。

検査にかかる時間

30分

睡眠時無呼吸検査(終夜睡眠ポリグラフィー検査)

検査目的

睡眠呼吸障害を診断するための検査です。 センサーや機械を装着し一晩過ごして頂きます。夜間の呼吸状態を調べ睡眠の質を評価します。 病院に泊まって頂く検査です。

検査にかかる時間

30分

(解析には約2週間要します)

院外検査の一例

結果が出るまでに日数を要します。

細菌(塗抹、同定) 感染症の原因菌を喀痰、尿、便などで調べます。また、抗菌薬の有効性を調べる事もあります。
抗酸菌
(塗抹、分離培養)
結核菌が原因の肺炎か調べます。数日間連続で検査する事があります。
下痢原性大腸菌 腸炎の原因菌が下痢原性大腸菌か調べます。
β-D-グルカン さまざまな基礎疾患があり深在性真菌感染症において高値になります。
風疹ウイルス 風疹にかかってないかを調べます。
抗ヘリコバクターピロリIgG抗体 胃および十二指腸における慢性疾患(潰瘍、胃炎など)と急性疾患(急性消化不良症)との判別の補助、ピロリ感染のスクリーニングおよび除菌治療の効果判定として有用です。
卵胞刺激ホルモン(FSH) 男性では睾丸の間質細胞を刺激して男性ホルモンの分泌促進、女性では排卵およびその後の黄体形成を促進します。性腺機能の低下が続発性か原発性か鑑別が出来ます。
黄体形成ホルモン(LH)
ビタミンB12 造血ビタミンのひとつで不足すると貧血を起こします。
葉酸 ビタミンB12と同様に不足すると貧血を起こします。
虫卵(塗抹) 糞便を直接観察し、体外に排泄される虫卵を確認し診断します。
蛋白分画 血清中の蛋白質の構成比より、さまざまな病態の把握を行う基本的な検査です。数値よりも分画パターンを重要視します。