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整形外科


【診療方針】

 当科では、一般病院という立場を生かし専門性と一般性をチームで見ることで両立させ、「人を治療する」との観点を忘れずに医療をおこなっています。
 専門性としては『脊椎脊髄』『人工関節』『手の外科』『膝の外科』と整形外科の基本となる『骨折』を中心と考え、整形外科治療を行っています。
 整形外科のベッドは5階の南・北2病棟約70ベッドです。入院が分散せず、専門的医療看護ができるフットワークの良いなるべく患者さんのお顔を見ることに努めるチームとしての整形外科治療を行っています。
 包括医療を含めた現在の医療では慢性疾患は、外来で検査や診断を行い入院手術適応を決め、入院は基本的に目的とした検査・手術のみを行います。
 外傷性疾患、特に高齢者の大腿骨頚部骨折や脊椎圧迫骨折は急性期病院として急性期のみを扱うためゆっくりした、慢性期長期療養は当院ではできません。しかし、現在の都市部での医療の現状より自宅に帰るためのリハビリテーションを主な目的とした『亜急性期病床』12ベッドがあり、なるべく2~4週間の入院期間の延長で受傷前の状態で退院できるよう計っています。自宅へ退院することが困難な場合は、担当スタッフと『退院調整看護師』『MSW(メディカルソーシャルワーカー)』が在宅治療の援助や転院の相談を受けます。

【当科は運動器(骨、関節、筋、腱および脊髄~末梢神経)の傷病を扱います】

 
 具体的には、①打撲、捻挫、骨折、脱臼といった外傷、②変形性関節症や関節リウマチのような関節疾患、③椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの脊椎疾患、④骨粗鬆症、⑤過使用やスポーツによる四肢・脊椎の痛み、などです。
 すなわち整形外科は頭部、顔面や内臓を除くほとんど全身の部位の痛み、変形、しびれ、麻痺などの症状を改善し、身体機能の回復を獲得するための科です。
(神経や筋の変性疾患等については神経内科が担当しています)
 

1)外来通院治療

 

 外来では診察、検査(単純X線、CT、MRI、超音波などの画像検査、血液、尿検査、骨密度測定など)の上で通院治療を行います。
 治療には日常生活や体操の指導、投薬、注射(主に肩や膝関節のヒアルロン酸製剤関節内注入、脊椎疾患の神経症状に対するブロック注射、また機能回復のためのリハビリテーションなどがあります。
(症状緩和の目的でのマッサージ、温熱治療、牽引などの物理療法や、鍼灸は行っていません。)
 私達は他科や他院の医師達とも密に連携をとりながら検査や治療を進めています。他院からのご紹介で対応する場合もあれば、必要によって、例えば腫瘍性疾患や小児の発達障害など、専門医療機関や大学病院などを紹介させて頂くこともあります。

2)入院治療 

 外来治療で対処困難な場合入院が適応となりますが、大きくは保存的治療と手術療法の2つに分かれ、いずれにしても、なるべく短期間の入院治療による機能回復を目指します。入院から手術までの日数の短縮の一環として、予定手術症例では、術前検査や術中~後の出血に備えての自己血の貯血も、原則として外来で行います。
 手術時間の短縮と麻酔科医師の協力のもと、必要十分かつ最小限の麻酔や術後の除痛にも努めています。
 また、下肢深部静脈血栓症による肺動脈血栓塞栓症の予防を疾患や個々の方の発症リスクに応じて段階的に行っています。
 最も基本的なものは早期離床で、弾性ストッキング着用~フットポンプ使用~抗凝固剤の使用まで行います。
 離床のためのリハビリテーションもできるだけ早期から開始します。

3)救急外来受診 

 
 急な発症や症状の悪化に対し、救急外来での診療を行っています。日中のみでなく、夜間や休日についても月の約半分を当科医師が当直していることや、当科医師不在の場合でもオンコール体制によって早急の対応ができるように対処しています。
 ただし救急外来では検査内容や投薬日数に制限があり、入院とならず帰宅可能であった場合でも、救急は一時的な診断処置であることを了解していただきなるべ早くに当院または近医の一般外来受診をお勧め致します。

4)代表疾患

 

① 変形性関節症およびリウマチ性関節症(股関節、膝関節)、
 変形性関節症は退行性変化による関節軟骨の摩耗が主体となる疾患で、高齢者社会において増加中です。
 歩行に伴う痛みが強いと活動性が著しく制限され、進行すると車いす中心の生活になりかねません。
 症状がひどく外来通院で改善しない場合で、画像所見上も重度の症例には人工関節置換術を適応としています。
 リウマチなど関節が罹患する疾患においては、やや若年で同様の問題が生じえます。
 外来で術前検査となるべく他家輸血を回避するために可能な方には自己血貯血(3週間保存可能)を外来で行ってから入院して頂いています。また、術中に出血が多かった場合には、術中自己血回収システムを使用することもあります。
 原則的に1回の入院で1関節の手術を行います。
 入院後翌~翌々日に麻酔科管理の全身麻酔または脊椎麻酔下に1時間半程度の時間で手術を施行します。
 手術翌々日に離床(車いす~歩行練習)を開始、術後3~4週の退院を目標にします。
 退院後、しばらく経過後も最低年に1度は外来で経過を見せて頂くのが理想的です。

② 脊椎疾患(頚椎、胸椎、腰椎)
 比較的若年者から高齢者まで、疾患がみられます。椎間板へルニア、脊柱管狭窄症、すべり症が多く、比較的少ないものには化膿性脊椎炎や脊柱管内腫瘍などがあります。 
 脊椎疾患が基因となっての体幹や上下肢(手足)の強い痛み、知覚および筋力低下といった神経脱落所見がひどく、外来での保存的治療で改善しない場合、入院で対処しています。
 入院安静の上、ブロック注射(星状神経節ブロック、硬膜外ブロックや神経根ブロック)や薬物治療行うこともありますが、症状が強いと多くの場合手術治療が選択されます。
 神経の除圧には椎間板ヘルニア切除や椎弓切除、不安定性に対しては固定手術が行われます。

③ 大腿骨近位部骨折
 大腿骨(太ももの骨)の付け根の骨折で、骨粗鬆症を基盤に高齢者に多い外傷のひとつですが、外力が強ければ若年者にも生じえます。大腿骨頚部骨折(骨頭下骨折、大腿骨頚部内側骨折)と大腿骨転子部骨折(大腿骨頚部外則骨折)がありほとんど全症例が入院手術の適応となります。これらも適切な治療が早期に行わなければ、著しい活動性の低下を招くことになります。
 当院では、肺炎や下肢深部静脈血栓症による肺動脈血栓塞栓症などの合併症発症の予防を行いながら、手術までの期間を最大限に短縮し、確実な活動性の復帰のために術式を選択して施行しています。
 術式には金属材料による観血的(切開すること)骨接合術と、大腿骨頚部骨折で転位(ずれ)があるものには人工骨頭挿入術が適応となります。術後のスケジュールは症例や術式により異なりますが、やはり可及的な早期離床を目標にします。
④ 骨遠位端骨折
 手首の近くの骨折で、徒手整復~ギプス固定による保存的治療を外来で行うことが多いのですが、やはり高齢者では粉砕や転位が大きく、入院手術を要することも少なくありません。
 当院ではX線透視下での鋼線刺入や観血的整復の上での金属プレートとスクリュー(螺子)固定を時に併用して手術しています。術後短期間のギプスシーネ(副子、添え板)を当てることもあります。全身麻酔下での手術でも麻酔覚醒後は直後から歩行可能なため、比較的短期間の入院治療後に通院加療が可能です。     
 一般に完全な骨癒合の前から手関節可動域訓練を行うことが必要となります。
 鋼線は多くの場合、約2カ月で外来手術にて除去します。プレートとスクリューは骨折が完治してから再入院手術で除去することがあります。

  

5)外来手術について

局所麻酔でも手術可能な小手術は外来手術で対応しています。例としては、
① 比較的小さな、浅い部位の良性腫瘍切除
② 骨内異物除去(鋼線、浅い部位のプレートなど)
③ 手根管症候群の手術
④ ばね指の手術
⑤ 手関節部腱鞘炎(デ・ケルバン病)の手術、
⑥ 陥入爪の手術 
などです。これらも入院で行う手術と同様に手術室で清潔な状況で行っています。