循環器内科

ご挨拶

当院の循環器内科では、常勤の医師は日本循環器学会専門医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、医学博士号の資格を全員が取得しており、また医師それぞれがサブスペシャリティを持ち、日本循環器学会診療ガイドラインに沿った標準的な循環器診療を行っております。
日中の救急対応はもちろんのこと夜間も毎日オンコール体制をとり当直医とスムーズな連携をはかることで初期対応にあたっています。また、特に高齢者では体調不良時に何が誘因かはっきりしない場合も多いと思います。循環器疾患にとらわれず各科と協力して多面的な診療を行いますのでお気軽にご相談いただければと思います。

診療内容

検査

心電図(数分)

心臓のスクリーニング検査に用います。

心臓超音波検査(約15分)

心臓の動きや大きさ、弁機能などを動画で確認します。心筋梗塞、弁膜症、心筋症などの発見に力を発揮します。

ホルタ―心電図(24時間)

携帯用の小型心電計を装着して24時間かけて心臓の状態を記録して解析を行います。検査中は通常通りの日常生活をしていただき、心電図に異常がないかを検査します。通常の心電図検査で見つけられなかった不整脈や狭心症の発見に役立ちます。

API (数分)

動脈硬化や狭窄の程度を評価する検査です。ベッドに仰向けに寝ていただき、両側の腕と足首の血圧を同時に測定します。動脈に狭窄や閉塞があるとその部分の血圧は低下するため、動脈硬化や狭窄の程度がわかります。

トレッドミル運動負荷試験(約20分)

心臓に少し強めの運動負荷をかけることによって心臓の機能や運動耐容能を調べる検査です。検査には循環器の医師が必ず立ち合い、ベルトコンベヤの上を歩行していただきます。最初はゆっくりと歩行ですが、徐々に速度と傾斜がきつくなります。患者さんの体力に合わせた範囲内で行います。

冠動脈CT検査(約30分)

冠動脈は心臓を栄養や酸素を送るための大切な動脈です。この冠動脈の狭窄や閉塞の有無について評価するためのCT検査です。上肢に点滴を入れて造影剤を投与しながら冠動脈を撮影します。完全予約制となりますが、外来で行うことができる検査です

負荷心筋シンチ検査(約4時間)

心臓に運動または薬剤にて負荷をかけた状態と、3時間後の通常安静時の状態の二回撮影を行い、それらの画像の差を見て心筋の機能を評価する検査です。狭心症が疑われる場合に行い、撮影は2回とも外来で試行します。

心臓カテーテル検査(約1時間)

冠動脈の狭窄や閉塞の有無を評価する入院による検査です。局所麻酔を使用し、手首または大腿の動脈から長い管状の道具(心臓カテーテル)を冠動脈まで挿入します。造影剤を流しながら撮影し、冠動脈の状態を評価します。安全のため、通常2泊3日の入院になります

埋め込み型心電計「リビールリンク(メドトロニック社製)」 (約30分)

心電図検査やホルター心電図では診断できなかった不整脈の検出に優れます。「リビーリリンク(メドトロニック社製)」は、胸部皮下に挿入し、最長3年間の持続的な心電図モニタリングが可能な植込み型心電計です。失神が起きた際の心電図を後から調べることや、意識消失につながる危険な不整脈を機械が自動的に記録することができます。また脳梗塞の原因となる不整脈(心房細動)を早期に診断し、再発防止につながる可能性があります。安全のため、植込みには通常1泊2日の入院になります。

治療

心不全薬物療法

薬物治療は心不全治療の基本となるものです。4種類の薬剤①アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、②交感神経の緊張を迎えるベータ(β)遮断薬、③アルドステロン拮抗薬、④SGLT2阻害薬を可能なら組み合わせて使用することを基本とし、これに利尿剤や強心剤を適宜追加し治療します。治療と並行して心臓リハビリテーションも早期に開始し入院による活動能力の低下を予防します。

心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術、冠動脈ステント留置術)

虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)に対する心臓カテーテルを用いた治療です。局所麻酔を使用し、手首または大腿の動脈から心臓カテーテルを冠動脈まで挿入し、さらに冠動脈ワイヤーを介して狭窄や閉塞した部位に対して血管の内側からバルーンで拡張したり、金属製のステントを留置して、血流を回復させます。治療にかかる時間は、患者さんの病状や狭窄の程度によって異なりますが、約1-2時間です。安全のため、通常3泊4日の入院になります。

人工ペースメーカ植え込み

脈が遅くなる不整脈(徐脈性不整脈:洞機能不全症候群、房室ブロック、徐脈性心房細動など)に対して人工ペースメーカを植込む治療です。局所麻酔を使用し、鎖骨下を約6cmほど切開し、皮下にペースメーカの機械を植え込みます。鎖骨下静脈を介して電極ワイヤーの先端を心臓へ挿入し、もう一方をペースメーカと接続します。脈が遅い場合には人工ペースメーカから心臓へ電気刺激が送られ、適正な心拍数を維持します。治療にかかる時間は約1-2時間です。安全のため、通常1週間程度の入院になります。

心臓カテーテルアブレーション(電気的心筋焼灼術)

細くて長い管状の道具(カテーテル)を足の付け根や首から数本挿入し、血管の中を通して心臓の中に留置します。カテーテルの先には心電図を計測するための電極がついていて、その記録をもとに不整脈の原因となっている心臓の部分を同定します。次に治療用のカテーテルを原因部位に接触させ、カテーテルの先端から高周波電流を流して、不整脈が発生しないように治療します。治療にかかる時間は、患者さんの病状や不整脈の種類によって異なりますが、約2-3時間です。安全のため、通常3泊4日の入院になります。

心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションは、心臓病で入院中の患者さんが体力を回復し自信を取り戻し、快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止することをめざしておこなう総合的活動プログラムです。心臓病では、心臓の働きが低下し、また安静生活を続けたことにより運動能力や身体調節の働きも低下しています。そのため退院してからすぐには強い活動はできませんし、どの程度活動しても大丈夫なのかが分からず不安もあります。当科では、患者さん一人ひとりの状態に応じて退院に向けたプログラムを提案し、心臓リハビリテーション指導士の医師のもと、専属の理学療法士により個別に心臓リハビリテーションを実施しています。

主な疾患

急性心疾患

心筋梗塞などの急性冠症候群、大動脈解離、肺塞栓症などの急性疾患に対しては、迅速な診断を心がけ、初期治療をした上でより高度な治療が必要と判断した場合には、心臓血管外科含めた高度急性期病院への依頼も行います。

狭心症

運動負荷試験や冠動脈CT、負荷心筋シンチなどで狭心症の可能性が高い場合は、カテーテルでの冠動脈造影検査を行い、薬物治療、カテーテル治療、外科治療の中から適切な治療法を選択します。

心不全

心不全とは、心臓が悪いため、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。慢性心不全には確立された薬物治療があり、ガイドラインにも反映されています。当科では標準治療を基本として、最新のエビデンスに基づいた治療を行っています。また、心不全手帳を導入し、入院中に心不全再入院を予防するための栄養指導、薬剤指導、看護師による心不全指導を積極的に行っています。

頻脈性不整脈

WPW 症候群や心房粗動、心室期外収縮などに対するカテーテルアブレーションを、高感度マッピング装置(EnSiteシステム)を用いて行います。また、心房細動に対するアブレーションは適応を十分検討し、連携大学病院へご紹介いたします。

徐脈性不整脈

失神などの症状や心不全を合併する場合はペースメーカの植え込み術を行います。MRI撮影可能な最新のペースメーカを植え込み、自宅でペースメーカの状態チェック・ができる遠隔モニタリングでの管理も希望者には行っています。

失神

原因不明の失神患者さんに対しては、24時間ホルター心電図、植込み型心電図モニター、ヘッドアップチルトテストなどを行い、診断の精度を高めています。それでも原因不明の場合は植込み型心電計を検討します。

閉塞性動脈硬化症(ASO)

APIや下肢動脈造影で診断し、薬物療法に加えて、カテーテルを用いた血管内治療を行っています。下肢の難治性潰瘍(重症虚血肢)に対しても、なるべく救肢できるよう、皮膚科や整形外科とも連携して治療にあたっています。適応がある場合には高圧酸素療法も可能です。

その他

高血圧や生活習慣病のほか、心臓弁膜症、心筋症、心筋炎、静脈血栓塞栓症など幅広く対応しています。

植込み型心電計「Reveal LINQ®」

「Reveal LINQ®(Medtronic社製)」は胸部皮下に挿入し、最長3年間の持続的な心電図モニタリングが可能な植込み型心電計で、失神が起きた際の心電図を後から調べることや、意識消失につながる危険な不整脈を機械が自動的に記録することができ、診断の率の向上につながることが報告されています。また、脳梗塞全体の16〜39%を占めると言われている原因不明の脳梗塞においても、同製品を使用することで脳梗塞の原因となる不整脈(心房細動)を早期に診断し、再発防止につながる可能性があります。

このように最新の心電計「Reveal LINQ®」を使用することにより、今まで検出できなかった病気の原因を特定することができ、より有効で安全な治療を行うことが可能となりました。

高齢者では心疾患以外にも多くの併存疾患があり、自分で薬剤管理が困難である場合や、退院後も食事の管理や生活環境が負担となり短期で再入院を繰り返す場合も多いです。当院では循環器内科に入院中の患者全員に対し、週1回多職種(医師、看護師、栄養士、薬剤師、運動指導士、緩和チーム、ソーシャルワーカー)カンフアを行い、治療方針や問題点を共有するとともに多角的に対応し、退院後も再入院せず少しでも長く良い体調で過ごしていただくことを目標としています。

五関 善成(ごせき よしなり)

役職

副院長、部長

診療科

認定資格

日本循環器学会専門医 日本内科学会認定内科医 日本内科学会総合内科専門医 日本不整脈心電学会専門医 人間ドック健診専門医 日本医師会認定産業医

専門分野

不整脈 ペースメーカ

卒業年度

1989年

笹目 敦子(ささめ あつこ)

役職

副部長、健康管理センター長

診療科

健康管理センター

認定資格

日本循環器学会専門医 日本内科学会認定内科医 日本内科学会総合内科専門医 人間ドック健診専門医 日本医師会認定産業医

専門分野

CT冠動脈診断 RI心臓診断

加藤 浩太(かとう こうた)

役職

副部長

診療科

認定資格

日本循環器学会専門医 日本内科学会認定内科医 日本内科学会総合内科専門医 心臓リハビリテーション指導士

専門分野

心不全 睡眠呼吸障害

卒業年度

2001年

小野 晴稔(おの はるとし)

役職

医師

診療科

認定資格

日本循環器学会専門医 日本内科学会認定内科医 日本内科学会総合内科専門医

専門分野

下肢閉塞性動脈硬化症 不整脈

卒業年度

1998年

髙橋 梨紗(たかはし りさ)

役職

医師

診療科

認定資格

日本循環器学会認定循環器専門医 日本内科学会認定内科医 日本内科学会認定総合内科専門医 日本心エコー図学会認定SHD心エコー図認証医 日本超音波医学会認定超音波専門医

織田 勝敬(おだ よしのり)

役職

非常勤

診療科

専門分野

虚血性心疾患 心臓カテーテル治療

卒業年度

1984年

中山 知章(なかやま ともあき)

役職

非常勤

診療科

専門分野

循環器内科一般

笠原 智大(かさはら ともひろ)

役職

非常勤

診療科

午前 五関 善成

笹目 敦子
根本 佳子

小野 晴稔
加藤 浩太

小野 晴稔
※閉塞性動脈硬化症(ASO)含む
笠原 智大

加藤 浩太
髙橋 梨紗

五関 善成
4/6:
髙橋 梨紗

4/13:
小野 晴稔

4/20:
五関 善成

4/27:
加藤 浩太
午後 笹目 敦子
※要予約
根本 佳子
※要予約

五関 善成
(不整脈ペースメーカー)
※要予約
織田 勝敬
※要予約

令和5年 入院患者の疾病統計

順位 疾患名 件数
1 虚血性心疾患(狭心症・急性心筋梗塞・陳旧性心筋梗塞) 98件
2 心不全 71件
3 肺炎(誤嚥性・細菌性)

23件

4 頻脈性不整脈(心房細動等)

10件

5 徐脈性不整脈(房室ブロック、洞不全症候群等)

8件

6 ペースメーカー電池消耗

7件

7 尿路感染症

6件

8 新型コロナ感染症 

5件

9 閉塞性動脈疾患

4件

9 高血圧性疾患

4件

11 腎不全

3件

11 肺塞栓症・深部静脈血栓症

3件

その他

42件

合計  

284件

令和5年 症例数

順位 疾患名 件数
1 冠動脈CT 160例
2 冠動脈造影 96例
3 経皮的冠動脈形成術

38例

4 ペースメーカー移植術・交換術

16例

5

経皮的カテーテル心筋焼灼術 (その他のもの)

3例

6 四肢血管拡張術

1例

7 植込型心電図記録計移植術

1例

合計  

315例